llms.txtとは、サイトのルート直下に置くMarkdown形式のテキストファイルで、サイトの要点と主要ページへのリンクをAI(LLM)へ簡潔に伝えるための提案仕様です。標準規格ではなく、設置してもAIによる読み込み・引用・学習は保証されません。
llms.txtの定義と位置づけ
llms.txtは、llmstxt.org(Jeremy Howard氏、2024年9月提案)が公開している提案仕様です。LLMのコンテキストウィンドウはサイト全体を読み込むには小さく、HTMLにはナビゲーションや広告などのノイズが多いという前提に立ち、「小さな目次ファイルに要点とリンクをまとめ、詳細はリンク先で必要なときだけ取得させる」という設計を取ります。
重要なのは、これがIETFやW3Cのような標準化団体を経た規格ではなく、コミュニティ提案である点です。仕様は現在も更新されており、正式な標準にはなっていません。
llms.txt と llms-full.txt の違い
| 項目 | llms.txt | llms-full.txt |
|---|---|---|
| 役割 | 要約とリンクの目次(インデックス) | 主要コンテンツの本文まで1ファイルに集約 |
| サイズ | 小さく保つことが前提 | 大きくなりやすい |
| 根拠 | llmstxt.orgの提案本文に規定 | コミュニティ慣行(提案本文に規定なし) |
llmstxt.orgの提案本文(2026年更新版)が定義しているのはllms.txtのみで、詳細情報は「各ページのMarkdown版へのリンク」で提供する設計です。llms-full.txtは、ドキュメントサイトなどで広がった運用上の派生であり、必須ではありません。
書き方(Markdown構造)
提案仕様で必須なのはH1見出しだけで、推奨構造は次の順序です。
# サイト名(H1・必須)> 要約(blockquote・サイトの1〜2文の説明)- 補足の段落や箇条書き(任意)
## セクション名ごとの、[タイトル](URL): 補足形式のリンクリスト
最小の例は次のとおりです。
# 株式会社Example
> 何をしている会社かを1〜2文で説明する。
## 主要ページ
- [サービス概要](https://example.com/service/): 提供範囲と制約
- [料金と契約条件](https://example.com/terms/): 契約前に確認する条件
## 会社情報
- [会社概要](https://example.com/company/): 所在地・代表者
記載すべき項目は、会社・サイトの正式名称、事業の一文説明、主要ページ(サービス、会社情報、問い合わせ、ポリシー類)、更新日です。誇張表現や宣伝文は避け、リンク先のHTMLと矛盾しない事実だけを書きます。
設置方法
- ルート直下(
https://example.com/llms.txt)に配置します。ドキュメント配下など、サブパス(/docs/llms.txt)での設置も提案上は認められています - 文字コードはUTF-8、配信はテキストとして行います
- robots.txtで
/llms.txt自体をブロックしないよう確認します
検証方法
設置後は、次の手順で状態を確認します。
- ブラウザまたは
curl -IでHTTP 200が返ることを確認する - Markdownとして開き、H1・blockquote・リンクリストの構造を確認する
- 記載した全リンクが200を返し、リダイレクトや404がないか確認する
- 記載内容が公開ページの記述と一致しているか照合する
- サーバーログでAI系ユーザーエージェントによる
/llms.txtへの実アクセスの有無を観測する
対応状況の現実
採用状況は限定的です。一部のAI関連企業や開発者向けドキュメントサイトが自らllms.txtを公開していますが、主要なAI検索・AIアシスタントが回答生成時にllms.txtを優先参照すると公式に確約した例は確認できていません。
Googleは公式ドキュメントで、AI OverviewsやAI Modeに表示されるために追加の要件はなく、新しい機械可読ファイル・AI用テキストファイル・特別なマークアップを作る必要はないと明言しています。少なくともGoogle検索のAI機能に関しては、llms.txtは要件ではありません。
robots.txtとの役割の違い
| 項目 | robots.txt | llms.txt |
|---|---|---|
| 目的 | クローラーのアクセス制御(拒否・許可) | AIへの情報案内(要点とリンクの提示) |
| 規格 | RFC 9309(IETF提案標準・2022年) | llmstxt.orgの提案(非標準) |
| 設置場所 | ルート直下が必須 | ルート直下が基本(サブパスも可) |
| 形式 | 独自の指示書式(User-agent, Disallow等) | Markdown |
| 拘束力 | 主要クローラーが尊重(アクセス制限の手段。非公開化の保証ではない) | 参照するかどうかはAI側の任意 |
robots.txtが「入ってよい場所を制限する」ファイルであるのに対し、llms.txtは「読んでほしい情報を差し出す」ファイルです。方向が逆であり、どちらか一方で代替はできません。
当社サイトでの実装
株式会社Trillion Bank(トリリオンバンク)では、trillion-bank.jp/llms.txt をH1・blockquote・H2リンクリストの構造で公開し、掲載対象を承認済みの公開ページに限定しています。ファイル末尾には、これが実験的な索引であり、ランキング指示や掲載の保証ではないこと、正本はHTMLページであることを明記しています。llms-full.txtには、製品の検証済み範囲だけでなく「できないこと」も併記しています。
設置前後のAI回答の変化は、HackⅡ(限定商用検証・導入相談受付)で質問単位に回答本文と引用URLを記録して観測していますが、現時点でllms.txt単独の効果を裏づける結果は得ておらず、効果の断定はしていません。
実務チェックリスト
- ルート直下に
/llms.txtをUTF-8で設置した - H1・blockquote・H2リンクリストの構造になっている
- 記載内容が公開ページの事実と一致している
- 全リンクがHTTP 200を返す
- robots.txtが
/llms.txtをブロックしていない - 更新日を記載し、サイト改修時に更新する担当を決めた
- サーバーログでAIクローラーのアクセスを観測している
- 効果を保証しない前提で、観測結果を記録している
できないこと・限界
- 設置しても、AIがファイルを読むこと、回答で引用すること、学習に使うことは保証されません
- Googleは検索のAI機能について特別なAI用ファイルは不要と明言しており、Google対策としての効果は期待できません
- どのAIがいつ参照したかを外部から完全に検証する手段はありません
- HTMLとllms.txtの二重管理になるため、更新が止まると古い情報をAIへ案内し続けるリスクがあります
llms.txtは、AI検索での掲載・引用・流入や売上を保証するものではありません。低コストで試せる実験的な補助手段と位置づけ、正確な一次情報の整備と観測を優先することを推奨します。
よくある質問
llms.txtとは何ですか?
llmstxt.orgが提案する、サイトのルート直下に置くMarkdown形式のテキストファイルです。AIにサイトの要点と主要ページへのリンクを簡潔に伝える案内役で、標準規格ではなく提案仕様です。
llms.txtを設置すればAIに引用されますか?
保証されません。主要AIサービスが参照する確約はなく、GoogleはAI OverviewsやAI Modeに特別なAI用ファイルやマークアップは不要と明言しています。実験的な補助手段として扱うべきです。
llms.txtとllms-full.txtの違いは何ですか?
llms.txtは要約とリンクの目次型インデックス、llms-full.txtは本文まで1ファイルへまとめる運用です。後者はコミュニティ慣行で、llmstxt.orgの提案本文には規定がありません。
robots.txtとllms.txtは何が違いますか?
robots.txtはRFC 9309で標準化されたクローラーのアクセス制御ファイルで、主要クローラーが尊重します。llms.txtは情報を案内する非標準の提案で、読むかどうかはAI側の任意です。
参考文献・一次情報
- The /llms.txt file — llmstxt.org(確認日:2026-09-06)
- Google Search Central — AI features and your website(確認日:2026-09-06)
- Google Search Central — Introduction to robots.txt(確認日:2026-09-06)
- RFC 9309 — Robots Exclusion Protocol(確認日:2026-09-06)
本記事は公開時点の一次情報と当社の分析に基づきます。用語や各サービスの仕様は変わる可能性があります。誤りを確認した場合は、お問い合わせ窓口からお知らせください。
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